田中
本日はよろしくお願します。
まずは、生年月日と出身地をお願いします。
また、子供の頃はどんな事に熱中していましたか?
山内氏
昭和38年11月30日出身は宮崎市です。
小学校3年から6年まで合唱部に入って、
中学校から高校まではバレーをやっていました。
スポーツに関してはどんなスポーツでも好きで得意でした。また、小学校3年の時にボーイスカウトに入ってキャンプとかに行ってたんで、よくカレーを作ったりとかいろんな料理を作るのを経験しましたので、この頃から料理をすることに興味はありました。
田中
お菓子の世界に入るきっかけは?
山内氏
高校に進学する時に、宮崎に調理科がある高校に行きたかったんですけど、親父が高校までは普通科に行くように言ってたんで、とりあえず普通科に行きました。
また、母が「カステラ」や「らくがん」を売るお菓子屋を営んでいた事もあって、高校1年生の時にお菓子屋もいいなと思って、高校を卒業したら、お菓子の専門学校に行こうと決めていました。
田中
高校を卒業されて専門学校に行かれたんですか?
山内氏
高校を卒業と同時に東京の日本菓子専門学校に入りました。
その当時、お菓子専門の学校は2校しかなく、ここに決めました。
高校を卒業して、すぐに修業も考えたんでが、まずは基礎的な事を覚えてから、修業に行こうと思ったんです。
ここで2年間勉強し1年目は、和菓子と洋菓子、2年目は和菓子か洋菓子のコースを選ぶわけで、僕は洋菓子のコースを選びました。
卒業後は、東京の洋菓子店に就職するんですが、身体を壊してしまい、昭和59年21歳の時に宮崎に帰り、母が経営していたお菓子屋で働きながら「和菓子職人」の方に和菓子の作り方を教わり、洋菓子はプロのパティシエを対象とした講習会に頻繁に参加して、レシピを吸収したり、いろんな洋菓子屋さんのお菓子を食べて、味を試しながら、配合や、ベースを考えて、作っていました。
だからほとんど独学ですね。
田中
独学は自分のしっかりしたポリシーがないと出来ないですよね?
山内氏
そうですね。私が高校1年生の時にお菓子屋さんになると決めた時点で、母が職人さんやパートさんを入れて、和洋菓子店としてスタートしたので私も必死でした。
お菓子屋さんとしてこのスタイルになって27、8年になりますね。
それで、和菓子もあるんですけど、洋菓子中心で2002年に今の店舗にリニューアルしてスタートしました。
昔は黒砂糖饅頭や田舎饅頭とかチーズミルク饅頭とか作っていたんですよ。
洋菓子の焼き菓子もリニューアル当時は今の1.5倍はありました。
田中
2002年に総リニューアルされた時には順調に事は進んだんですか?
山内氏
そうじゃなかったですね。
私が27歳の頃に親父が公務員を退職しまして、社長という形で親父が入ったんです。
それで、一緒にやるようになったんですが、私としては、洋菓子を中心にした新しいお店の展開を考えていたので、母との間に意見の食い違いがあったりと、それほど簡単に事が運んだ訳ではありませんでした。
親父は今の店舗のままでやったらいいじゃないかと言いましたが、自分としては30歳前にはリニューアルしたいと思ってましたので、何度も親父やお袋と話し合いをしましたが、結局は8年間くらいはそのままの形態で営業をしていました。
それで、1999年35歳の頃に親父が引退しまして、私が経営をバトンタッチする事になり、2002年の10月に総リニューアルし、今の店舗を構え、本格的に私の店作りをする事が出来たんです。
商品も絞り込んで、和菓子とか止めていた商品もあるんですが、お客様から作って欲しいと要望があり、作り出した商品もありました。その中のマドレーヌやレモンケーキもそうですね。今では人気商品になっています。
ショートケーキに関しても今まで作らなかったケーキもお出しするようになって、こちらからのご提案もさせて頂いています。
そういった意味で、昔からのお客様も結構いらっしゃいます。
田中
菓子職人にとって大切な事とは。
山内氏
そうですね。
当たり前の事を、当たり前に出来ることでしょうか。
それと自分に正直であること、自分が貰って嬉しい物を作る。
自分がお金を出して納得いく商品を作る。
20年のベテランが作るシュークリームも入ったばかりの新人が作るシュークリームも
お客様にとっては関係ないですよね。
要は心が大事ですね。
田中
これから菓子職人になろうとしている人にアドバイスを。
山内氏
うちに入った子に言うのが「今一番大事な人の事を思い浮かべて作ってごらん」と言うんです。
恋人でも、友達でも、家族でもいいと、その人に「このお菓子を食べてもらいたいという気持ちで作りなさい」と言うんですよ。
今日入った人に、10年以上やった人と同じように作りなさいというのは当然無理な事です、技術的な事だったり商品に対しての知識だったり‥‥‥ただ、その気持ちで作れば絶対にあなたなりの商品は出来ると思います。
ようするにその気持ちを10年経っても、20年経っても、ず〜っと忘れては駄目ですね。
前の話と少し矛盾するかもしれませんが、ここで言いたいのは、お菓子を作る上で「心」を忘れたら、絶対進歩もないし、技術的な面でごまかしはきくけれども絶対美味しくない。
だから「心しかない」と思います。心をなくした時点で終わりです。
田中
本日はありがとうございました。